◆生物多様性オフセットとは?

◆生物多様性バンキングとは?

◆国内類似事例

◆BBOPとは?

◆BBOPによる生物多様性オフセットの10原則

HEPの概念図の説明

  図中の上部左右の図で,縦軸はハビタットとしての価値を数量化したHU(ハビタットユニット),横軸はターゲット・イヤー(年)である。HUは,ハビタットとしての質を数値化したHSI(ハビタット適性指標)に面積を乗じた数値である。
  左上の図は,開発サイトにおける,提案した開発事業がない場合(=ベースライン:PA1)と同事業がある場合(PA2)のHUの経年変化を示している。一方,右上の図は,代償ミティゲーション・サイトにおける,提案した開発事業の許認可条件として義務付けられた代償ミティゲーションがある場合(MP2)と同代償ミティゲーションがない場合(MP1)のHUの経年変化を示している。ここで,開発サイトのPA1からPA2を引いた斜線で示した部分は開発事業によって失われるハビタットの価値を数量化したものであり,これを「Net loss」と呼んでいる。一方,代償ミティゲーション・サイトのMP2からMP1を引いた斜線で示した部分は代償ミティゲーションによって得られるハビタットの価値を数量化したものであり,これを「Net gain」と呼んでいる。
  結局,HEPは,開発によって失われるハビタットの価値と代償ミティゲーションによって得られるハビタットの価値を「質」,「時間」及び「空間」の観点から数量化することで,ハビタットの損得の比較考量を可能にし,開発と保全のあり方についての議論に対して,わかりやすい叩き台を提供しているのである。
  最終的には法の抑止力により,大規模な代償ミティゲーションが義務付けられるような生態系破壊型の開発計画が事業者サイドで最初から回避されることが,代償ミティゲーションをHEPのような定量的生態系評価ツールで明示することの本来的な意義である(田中章, 1998)。

HEPに関する田中章の著作・論文

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