研究室紹介
田中章研究室 (ランドスケープ・エコシステムズ研究室)
教授: 田中 章大学院生:7名 学部生:13名
研究内容
「生態系復元・創造に関わるフィールドから政策までの研究」
特に都市部及び都市周辺部において、失われてきた自然及び二次的生態系の復元・創造を促進させるためのあらゆる調査、評価、計画、政策、法制度、国際環境協力(フィールドから政策まで、ローカルからグローバルまで)を対象としています。今日、地球上の自然あるいは二次的生態系はグローバル、リージョナル、ナショナル、ローカルのすべてのレベルにおいて消失しつつあり、その速度は加速化しています。その主要な原因は人間行為としての開発事業です。そのため、本研究室では、開発と保全のバランスを図るためのプラニングのツールである環境アセスメント、消失する自然を補償するための生態系ミティゲーション、生態系ミティゲーションの中でも、回避・低減しても残る環境影響を補償するための生物多様性オフセット(代償ミティゲーション)、より広域的な土地利用計画や戦略的環境アセスメントとリンクさせたミティゲーション・バンキング・システム、生態系を定量的に評価するためのHEP(生息地評価手続き)などの最先端の手法や制度について研究しています。
社会との接点
「問題解決型:ランドスケープ・エコシステムとしての地域のグランドデザインを提案」
本研究室は 「研究のための研究」ではなく「社会のための研究」を目指しています。そのために学界だけではなく、業界、行政界という3つのGとの連携を特に重視しています。 1999年に全面施行された環境影響評価法において生態系のミティゲーションが規定されたこと、2002年に環境アセスメント学会を立ち上げ、社会問題化している開発と保全の問題を学術的に捉えることが始まったこと、新生物多様性国家戦略(2002)の中で面的かつネットワークに配慮した緑地確保の必要性が示されたこと、埼玉県志木市の自然再生条例(2001)のようなミティゲーションの条例化などの持続可能な社会基盤形成への重要な社会変化は、上記のような研究成果が直接的に貢献しています。研究室の横顔
「環境学−境界領域の専門分野」
もともと我々を取り巻く「環境」には明確な区分などありません。例えば、文系と理系、アナログとデジタル、水域と陸域、人間とそれ以外、開発か保護か、植物と動物、国内と海外などなど。しかし、そうだからといって現実の環境は人間が決めた枠の中では納まってはくれません。本研究室の研究領域は、既存の伝統的なカテゴリーでは収まらない新しい領域(本来、自然な領域)を対象としています。卒業・修士研究テーマ
<分野>
生物多様性オフセット(代償ミティゲーション)、ランドスケープアーキテクチャー、エコロジカル・プラニング、生態系復元・創造、環境計画、復元生態学、流域環境計画、ランドスケープ・エコロジー、生態系評価、HEP、HEA、ミティゲーション、ミティゲーション・バンキング、環境アセスメント、環境影響評価法、環境政策、アジェンダ21、地球サミット、国際環境協力
<テーマ例>
- 諸外国における自然立地の生物多様性オフセット及びノーネットロス政策の現状と課題
- 都市域における二次林管理の現状と課題
- 環境影響評価における自然環境保全措置の現状と課題
- 茅ヶ崎海岸における海岸侵食に関わる環境保全政策の現状と課題〜流域環境保全の視点から〜
- 自然復元を目的とした在来植物材料の供給可能性について
- アマモのハビタットとしての機能と復元方法
- 世田谷区国分寺崖線保全に関わる現行制度の分析と対策
- 日本におけるHEP導入の可能性−HSIモデルの分析にターゲットをおいて−